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味の傾向:昭和の日本酒の味わいを再現するコンセプトでつくられたお酒。フルーティさはなく穀物や油脂の印象を感じる香りはまさにクラシックなイメージ。味わいも華やかさはほわずかに、少しの甘味にしっかりとした苦味酸味がメインの素朴なスタイル。根菜の甘煮など似合いそうだ。

僕の評価:70点/100点(クラシックをほどよく現代風に仕上げている)

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愛媛のお酒をご紹介です。当ブログ的には珍しいですね!「伊予賀儀屋(いよかぎや) Nine 9 辛口純米 R1BY」であります。都内でもよく見かける愛媛の代表的な銘柄のお酒です。

実は他のお酒を通販する際に、「1本だけ通販するのも送料がもったいないなぁ」という貧乏性を発動させてついで買いした商品だったりします(笑)。すいません、セコくて。

吟醸酒系に使われていることをアピールされることが多い9号酵母使って、わざわざ古いスタイルの味わいで辛口に仕上げたという商品説明に惹かれて購入しました。最近はこういうフルーティでないタイプのお酒に興味が出てきたんですよね~。

スペックはNine 9と名前がついている通り、日本酒度+9を中心に組み立てられています。

アルコール度 16.5%
精米歩合 70%
日本酒度 +9
酸度 1.8
アミノ酸度 不明
純米、火入れ、加水あり

なかなか特徴的な数値です。日本酒度が高いので糖分少なめ、まさにドライですね。酸度は高いですがアルコール度も高いのでそこまで目立つことはないはずです。精米歩合低めで吟醸づくりもしていないようなので、華やかさのない穀物っぽい印象が予想されます。

さあ、飲みますよぉ。

◆ざらついた味わいだが面白い!

さて、冷酒でそそいで色を見ましょう。うーん、あんまり色がついていない??アルコール度16.5%もあるので、原酒に近い酒質じゃないかと思うのですが、ちょっと薄すぎないかな。なんだろうこれ。

香りを確認。おう、フルーティさは微塵もなし!(笑)穀物っぽい・・・他にはスパイスや酸味の印象。意外にもアルコールの感じはしません。うーん、なんなんだこの16.5%のお酒。

飲みます。

確かにドライ!甘味少ない!・・・・そして、これかなりお水加えているぞ!!

甘さがなく無骨な酸味苦味で楽しませる、なるほど昭和っぽい味わいのお酒です。それでいてとても滑らかで飲みやすい!これ、たっぷり加水されていますね。そのせいで飲みやすいんです。

お酒を醸造して搾った時点ではアルコール度が19%ぐらいあったのではないでしょうか。そこから水を加えて16.5%に下げる。発酵により糖分が少なくなっている事実とも一致しており、たぶん合っていると思います。

最近の吟醸酒などはアルコール度17%ぐらいで搾って、お水加えて15~16%にするのが主流ですから、確かにこのNine 9は温故知新な日本酒ですねぇ。それでいて古臭すぎない良いバランスで仕上がっています。お上手!

◆日本酒の幅を広げてくれる佳作

いや~新鮮な味わいでいいお酒ですね!地酒の主流である純米吟醸酒とはまったく違う味わいが楽しかったです。やはり似たような味わいのお酒ばかりでは飽きてしまいます。こういうお酒が食事の合間に挟まると、晩酌にリズムが生まれていいのはないでしょうか。

今回はそれほど料理との相性を探らなかったのですが、中華料理なんかもいいなぁと思いました。チンジャオロースとか麻婆豆腐とか。焼きそばもいいかも。あとは甘さのある料理かなぁ。大学芋、根菜の甘煮、いろいろいけそう。夕食のど真ん中でゴクゴク飲んで欲しいですね。

「伊予賀儀屋 Nine 9 辛口純米 R1BY」、古い味わいが今新しい、見事に狙い通りつくれている良酒だと思います!







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