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味の傾向:17%という高いアルコール度数を持つ純米酒。香りはアルコールの匂いメインにオイリーな印象が混じるスタイル。味わいはドライでどっしりしているが意外なほど滑らかで飲みやすい。後味はすっきりしており食事がすすむお酒だ。

僕の評価:70点/100点(熱燗がたまらない)

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今日は滋賀県の珍しいお酒をご紹介。「喜量能(きりょうよし) 純米 火入れ」であります。この銘柄名はフリガナないとさすがに読めないですね!(笑)

大次郎で有名な畑酒造さんの地元銘柄だそうです。もともとはこちらが有名だったのですが、大次郎が売れて知名度が逆転したとか。それでも喜量能・上撰という普通酒が関東で流通しているのですが、この純米酒はそれ以上にレアみたいですね。

しかし、どうですこの色気のないラベル!味まで想像できそうなラベルですよ。地元のおじいちゃんが晩酌に飲み倒している姿が思い浮かぶようです。

さて、スペックです。なかなか興味深いですよ。

アルコール度 17%
精米歩合 60%
日本酒度 +11
酸度 1.9
アミノ酸度 不明
純米、火入れ、吟醸づくりなし、加水あり

ポイントはアルコール度17%なのに加水したお酒だということですね。最近の地酒だと原酒の印象がある度数ですが、このお酒は20%ぐらいまで発酵させて、加水して度数を下げているのでしょう。なので味わいのエキス感が薄れて、滑らかでさっぱりした味わいになるはずです。

さあ、飲んでみましょう。

◆アルコールを感じさせない軽やかさ

やや冷やして(15℃)グラスにそそぎます。ふむ、ちょっと黄色がかっている程度でしょうか。熟成はたいしてしていないのでしょう。加水もあるので色が薄まっています。

香りを確認。お、フルーティな香りなんて微塵もありませんぜ!このラベルならこうじゃなくっちゃネ。ややアルコールの香りが強いです。17%ならではですね。

飲んでみる。

重さを感じさせないサラリとした舌触りがおいしい!酸味の心地よいキレが素敵ですぞ!

やはりこういう味ですか!酸味の使い方も上手で、便利そうなお酒ですよ~。

アルコール17%の味の強さはあるのですが、その味を水で薄めることと酸味を高めることで軽い印象に調整しているのですね。これが飲みやすさの原因です。

甘みは少なくドライな印象。そっけないですが食事に合わせるのがメインでしょうから、これぐらいがちょうどいいのです。

熱燗は・・・最高!甘みがグッと増してドライな味と混ざり合うので、めちゃくちゃいい感じです。こっちはお酒メインの晩酌でも楽しめますよ。

◆加水されたお酒の良さ

いやぁ、久しぶりにアルコール度高い加水されたお酒飲めて満足です。フルーティ日本酒全盛の今だと注目されないジャンルですが、一度飲んでみてほしいです。ほんと飲みやすいんですよ。

日本酒の味わいの印象は、意外とお酒をしぼった後の工程が影響します。生酒/火入れ、原酒/加水、濾過、熟成、などなど、商品名にもなりやすい後処理の工程に注目してみてください。

「喜量能 純米 火入れ」、高アルコール加水日本酒のお手本みたいなお酒でした。上撰も飲んでみたいですね!