写真 2021-02-25 20 41 02
味の傾向:
秋田の大手酒蔵・高清水がつくるレギュラーの純米酒。香りはほんのりとしたアルコール感と樹脂のようなオイリーな匂いが混ざっている。味はふくよかで伸びのある甘味と旨味のハーモニーが素敵。冷酒と常温で味わいが変化するぞ。

合わせた料理:牡蠣・チーズ・海苔の佃煮

僕の評価:70点/100点(旨味がもたらすまろやかさが素敵)

◆◆◆

さあ、秋田酒のご紹介だ!「高清水(たかしみず) 酒乃国純米酒」であります。蔵元の通年販売の定番商品ですね。僕が好きなタイプの商品です。

秋田有数の大手酒蔵である高清水、関東圏のスーパーでもよく見かけますよね!あまりにもよく売っているので兵庫あたりのお酒と思っている方もいるかもしれませんが、実は秋田なんですよ。

今回のお酒はコロナ禍で中止になった蔵開きの代替企画、オンライン蔵開きで通販したものです。かなりお得なイベントでしたが、日本酒特有の在庫を貯蔵できないという辛さを感じさせるものでした(送料が実質無料だったのです)。早くお酒の流通が正常になって欲しいものですね。

お酒自体はごく普通~の純米酒です。普通すぎて説明のしようがないぐらい(笑)。高清水は醸造アルコール添加のお酒もたくさんつくっていますが、純米酒となるとこの酒乃国純米酒が基本の商品になるようです。

しかし、こういうお酒こそ酒蔵のエッセンスがつまっていると思うんですよ。楽しみです。

スペックを確認しましょう。高清水はスペック全公開という、マニアが泣いて喜ぶ酒蔵です(笑)。

アルコール度 15.5%
精米歩合 60&65%
日本酒度 +1
酸度 1.7
アミノ酸度 1.9
純米、火入れ、加水あり、吟醸づくりなし

最大の注目ポイントはアミノ酸度の高さ。1.9!めっちゃ高いです。通常の日本酒ではめったに見ないですね。0.9~1.3あたりが多いと思いますし、最近の人気のお酒だと0.8とか低いのも多いです。つまりこのお酒は旨味たっぷりということです。これがレギュラーのお酒とは興味深いですね。

さあ、味を確認しましょう。

◆まろやか~な味わいに心が満たされる

今回は冷酒ではなく常温でグラスにそそいでみます。ふむ、ほんのり黄色・・・ぐらいかな?火入れしてある程度熟成しているのでしょうけど、加水をしっかりしているのでお酒のエキスが薄まっているのでしょう。アルコール度15%ぐらいの吟醸づくりしていないお酒ではよくある外見です。

香りはフルーティな印象はもちろんありません。樹脂を思わせる油っぽいオイリーな香りとアルコールの匂いがありますね。とはいえごく軽いので、穀物!とまで感じるほどではないです。食事選ばなそうですね~。

飲みます。

しっかりした甘味に滑らかな旨味、2つが合わさってなんともいえないまろやかな味わいになっています!

ぐはー、個性出ているッ。これが高清水の味かぁ!

苦味も酸味もあるんですよ。しかし滑らかな味の影に隠れてしまっている。その後に残るのはまろやかな味わいだけ・・・たまりません。

いわゆるコクがある純米酒なのですが、飲みやすさが犠牲になっていないところが見事です。長い年月かけた試行錯誤の結果の後できあがった味なのでしょう。

ちなみに冷酒もおいしいです。こっちは酸味が目立ってきて甘酸っぱい印象に。こうなるとモダンな秋田酒っぽくなるんですからすごい。

おつまみは飲み屋さんのテイクアウト肴である牡蠣・チーズ・海苔の佃煮にしてみました。旨味たっぷりの料理に旨味たっぷりのお酒を合わせるとどうなるか?もう、天国でしたよ(恍惚)。チーズ系の料理とぜひ合わせてみてください。

◆旨味重視の酒蔵

オンライン蔵開きが開催されると知った時、高清水の商品ラインナップをじっくり眺めたのですが、廉価な価格帯の商品はどれもアミノ酸度(=旨味)が高いのに気づきました。こういうのはけっこう珍しいんですよ。

もともと日本酒は他の酒類と比べてアミノ酸が圧倒的に多いお酒です。なのでそこを活かすのが大切だとは思うのですが、流行のお酒はアミノ酸度を下げているパターンが多いんですよ。それはそれでいいのですが、この高清水みたいな旨味たっぷりのお酒も用意しておくと、より酒ライフが楽しめるのではないでしょうか。

「高清水 酒乃国純米酒」、高清水のレギュラーを担うに足る素敵なお酒です。ぜひ一度飲んでみてください。