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味の傾向:No.6の10周年記念ボトルの第一弾。香りはライムのような爽やかな匂いだがとても穏やか。味わいは繊細な酸味とまろやかな甘みが奇跡的なバランスを取っている。お酒特有の刺激感がないのに物足りなくない。なんだこれは。

合わせた料理:チーズとリンゴのマヨネーズ和えサラダ、焼きリンゴ+クリームチーズ

僕の評価:90点/100点(日本酒を超えたなにか)

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さあ、今年も(去年も!)話題の日本酒・新政を紹介しますよ~。「No.6 ダイスケリチャードtype R2BY」であります。新政定番の生酒・No.6を祝う10周年企画で販売された限定酒です。

しかし、見てくださいよこのボトルデザイン!全面ピンクのカラーリングに加えて、新進気鋭のイラストレーター・ダイスケリチャードさんのグラフィックがどーんとプリントされています。こんなの絶対部屋に飾りたくなるじゃないですか。

このお酒最大のポイントは12%(正確には12.4%)というアルコール度です。大半の新政のお酒は13%台の度数を実現していますが、それをさらに下げるのは至難の技だそうでして。低い度数でも飲みごたえをつくるために、お酒をしぼった後に再発酵させているそうです。なんですか、その謎技術?(笑)

細かい点は公式Twitterの以下のスレッドを参照してくださいね。


お酒としては亜麻猫(新政の酸味豊かなお酒)ベースだそうなので、白麹(クエン酸をつくる)が使われているのでしょう。さて、どんな味わいに仕上がっているのでしょうか。

スペックです。

アルコール度 12.4%
精米歩合 60%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、生酒、吟醸づくりあり、原酒、白麹使用

日本酒度以下が不明なのが残念ですが、アルコール度が極端に低くかつ白麹が使用されているので、なんとなく味が想像できます。むちゃくちゃ穏やかでかつ酸味高いんだろうなぁ・・・どんなお酒やねん(笑)。

ま、飲んでみましょう。

◆ありえないぐらい軽くてうまい

冷酒でそそいで色を確認。う~ん、ほとんど付いてないですねぇ。泡がたっぷり残っていますし、薮田(ヤブタ)でしぼって即瓶詰めなのは間違いないでしょうね。貯蔵も短いのでしょう。

香りを確認。う~ん、めっちゃ穏やか!というか香りがない!。やはり12%の度数で香り立てるのは難しいんだろうなぁ。生酒で酸度高めなので、ライムのような酸っぱくて爽やかな香りがありますがごくわずかです。

飲みましょう。

はあああああああ~~!?!?ありえないぐらい軽やかでまろやかなんですけど!そして穏やかな甘みと繊細な酸味が味を彩る!!

すんげー、なにこれ。日本酒なんですか?

日本酒の背骨とも言えるアルコール度を大幅に下げているので、アルコールから生まれる「甘み、苦み、刺激」がすごく少ないです。そこから生まれるのはひたすら美しい舌触り。ありえねー。

普通なら軽すぎて物足りなくなるのですが、このダイスケリチャードはそんなことないです。存在感のある酸味がしっかり味を支えています。

とはいえ、それだけじゃないですよ。これが再発酵の力か!?

おつまみはいつものリンゴ&チーズサラダと焼きリンゴ+クリームチーズを用意しました。この焼きリンゴが秀逸。お酒に苦味がないので、リンゴのカラメルの苦味が実に合うんです。やはり新政は果物料理が似合いますね。



◆日本酒を超えてゆけ

いや~、絶句してしまうような味わいでした。ほんと日本酒は技術次第で味が無限に進化しますね。やはりお酒はお米の値段ではなく、蔵の技術力とブランドで評価されるべきですよ。まあ、このダイスケリチャードの酒米は無農薬かつ収穫量が少ない酒こまちなので、とってもお高いお米なんだそうですが。

このレビューでは絶賛していますが、人は選ぶお酒です。絶対的に軽いので、そこそこパンチのあるお酒(=アルコール度数が高い)が好みの方には向いてないと思います。とはいえこの滑らかさは他のお酒では味わえませんね。

「新政 No.6 ダイスケリチャードtype R2BY」、現代日本酒の最前線に立っているお酒です。歴史がつくられる瞬間に立ち会いましょう!