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味の傾向:千葉の銘柄・鳴海初の生もとづくり低アルコール純米酒。香りはふんわりとしたフルーティな印象、桃とヨーグルトを感じさせる。味わいは豊かな甘さを感じさせるが不思議と淡い印象もある。後味はシャープな酸味苦味が心地よい。完成度が高すぎて呆れてしまう。

僕の評価:80点/100点(謎の技術力)

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さあ、個人的最注目な千葉県銘柄を再度ご紹介です。「鳴海(なるか) 生もと純米直詰め生 YK-66 R2BY」であります。アルコール度11%の低アルコール日本酒ですね。

R2BYから杜氏さんが菊池譲氏に変わって、あまりに僕好みのお酒をリリースするのでめちゃくちゃ注目しているんですよね。辛口ではなくドライなお酒づくりが得意な銘柄です。甘さもあるけど、シャープでエッジの立った味わいが好きなんですよ~。





このYK-66は鳴海の中でも変わり種で、低アルコールの純米生原酒です。そして生もとづくり、精米歩合66%、きょうかい6号酵母、秋田酒こまちを酒米に使用・・・ここまでくればピンときますよね(笑)。新政を強~くリスペクトしたお酒なのです。

新政を意識したお酒は世の中にたくさんありますが、最近の新政は技術力が上がりすぎて簡単には真似できなくなっていると感じます。さて、菊池杜氏はどう攻めるのでしょうか?

スペックを確認です。

アルコール度 11%
精米歩合 66%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、原酒、生酒、無ろ過、直汲み

数値は不明ですが、極端に低いアルコール度と無ろ過生原酒である点が大きなヒントになります。また6号酵母なのでバナナ系の弱い香りが主軸なのもわかりますね(6号酵母は吟醸香が少ないのが特徴です)。ふむふむ。

それでは飲んで確認しましょう。

◆これはNo.6!だけじゃない?

さて、いつもどおり冷酒でグラスにそそぎます。色はほとんどついてません。原酒で(おそらく)糖分も多いお酒なのに色がついていないということは、お酒をしぼって即瓶詰めして即出荷しているのでしょうねぇ。

香りは・・・ふおおおおっ、桃のフルーティな香り!さらにヨーグルト。これは際立っている!新政No.6を思い出しますなぁ。すごいな、こんなに近づけるんだ。

飲みます。

甘さたっぷりなのに恐ろしく軽い味わい!後味はカツーンと苦酸が出てきてシャープですっきり。飲みやすくてヤバい!

うお~、すげぇな!こんなに軽いのこんなにバランスとれているんだ。新政らしさがありつつも、しっかり今季の鳴海のお酒になっている!

まず低アルコール酒にありがちな甘さだけが突出している感じがありません。苦味酸味(それと渋味)が絶妙にバランスを保ってくれているんですね。見事な塩梅。

このバランスは言うは易しでありまして、とっても難しいはずです。新政だって13%の度数にするのに何年もかかっているのですから。このYK-66はさらに低い11%でこれですからねぇ。初の生もとでこのレベルってどういうことよ?

◆遊びも本気で

このYK-66、ネーミングなども含めてちょっとお茶目で遊びの入った商品なのだと思います。しかし、味わいはすごい。ここまで新政らしさを真似たお酒は飲んだことないですね。

さらっと簡単にやっているように見えますが、むっちゃ高いハードル超えて完成したお酒です。本当に菊池氏はハイレベルなお方なんだなぁと実感しましたね。

「鳴海 生もと純米直詰め生 YK-66 R2BY」、東灘醸造の新杜氏が繰り出すお遊び満載かつ技術力満載の日本酒です。うまいぞ~。