写真 2021-04-06 21 21 00 (1)
味の傾向:土田酒造の地元向けブランドのお酒。香りはやや重いオイリーな印象。味は程よく甘味旨味を感じるのに不思議なほどスパッとキレていく。濃厚さとドライさが同居する辛口酒。

合わせた料理:厚揚げの煮浸し

僕の評価:75点/100点(悔しいけど好き)

◆◆◆

群馬の暴れん坊・土田酒造のお酒を紹介します!「誉国光(ほまれこっこう) 尾瀬淡麗」であります。地元で流通する銘柄名を使った商品ですね。

土田酒造というと昨今の吟醸香メインのお酒づくりとは正反対の商品展開をしつつも、熱心なファンを獲得しつづけている新進気鋭の酒蔵というイメージを僕は持っています。穀物の香りプンプンで味は酸味苦味たっぷりみたいなテイストになぜだか惹かれてしまうんですよねぇ。なぜなんだ(笑)。

この誉国光・尾瀬淡麗は、杜氏さんなりの辛口酒をつくってみたということで、同蔵のお酒に比べて糖分少なめですっきりではあるようです。しかし、そこは土田酒造、普通にはいきません!

そのスペックを確認しましょう。

アルコール度 16%(原酒)
精米歩合 麹米90%・掛米70%
日本酒度 +11
酸度 1.1
アミノ酸度 1.0
純米、吟醸づくりなし、火入れ、原酒

この数値で重要なポイントは酸度です。すごく低い!普通の日本酒なら1.4~1.7ぐらいです。こういう超低酸度のお酒は勘違いしやすいんですよ。そして面白い味わいになりやすいのです。

◆常温は刺々しく冷酒はすっきり

冷酒でそそいで色を確認。しっかり黄色の色が付いていいます。とはいえ透明度は高いですね。無ろ過ではないのでしょう。磨いていないお米を使っていることと、原酒で熟成させていることが原因と思われます。

香りをチェック。むむっ、油を思わせるオイリーな印象です!脂肪酸エステルですね。低精白のお酒で出る香りです。そして酸っぱい印象がありません。これ重要!酸度は低めというサインです。

飲みます。

うおっ、かな~りスッキリしているのに不思議と甘味旨味を感じる。辛口なんだけど辛口じゃないみたい!

普通両立しないような要素が同居している。これぞ低酸度のお酒です!

日本酒度+11で糖分が少ないことがわかるのですが、なぜか甘みを感じます。これは酸度が低いので相対的に甘みが目立っているせいなのですね。

このためしっかり味がありコクも感じるのに、不思議とサラリとしたドライな印象を受けます。これは面白い!

ちなみに常温や熱燗にするとアルコールの刺激が目立ち、ハードでアタックの強い味わいに変化します。冷酒は非常に飲みやすいので、意外で面白いです。

◆テイスティング泣かせのお酒

実はこのお酒はスペックをブラインドしてテイスティングしたのですが、ことごとくはずしました。お恥ずかしい・・・。日本酒度+5、酸度1.8、アミノ酸度1.5と予測していました。ぜんぜん違うやん(泣)。

酸度が低いせいで甘味を勘違いしていますね。香りで酸味がないのを見逃していたせいです。こういうお酒飲むと日本酒って奥が深すぎ!と辛くもあり楽しくもありますね。くっそー、もっと勉強する!

「誉国光 尾瀬淡麗」、辛口好きならぜひチェックしてもらいたい逸品です。普通と違うつくりを楽しんでください!