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味の傾向:
滋賀の酒蔵がつくる熱燗にぴったりの1本。2年貯蔵されたお酒の香りは酸味たっぷりでオイリーな印象、しかし温めても強くなりすぎないバランス。味わいは酸味と苦味たっぷりだが、熱燗で見事な調和を見せる。ぜひ燗で飲もう。

僕の評価:75点/100点(濃厚なのに飲みやすい)

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いぶし銀な日本酒銘柄がわんさかとある滋賀県からご紹介です。「大治郎(だいじろう) 純米 火入れ H30BY」であります。名前からして質実剛健って感じですね!

以前レビューした喜量能をつくった畑酒造の別銘柄になります。


滋賀県は不老泉といい七本槍といい、果物より穀物を思わせるお酒をつくる酒蔵が多い印象ですが、この大次郎もその期待を裏切らない逸品だそうです。穀物系のお酒(=吟醸づくりをしていないお酒)は食事との相性が幅広いので、楽しいんですよ!

今回のお酒は普通の火入れ純米酒ではなく、2年ほどの蔵元熟成を経て出荷されているようです。滋賀酒で熟成なんて、牛タンに麦飯と同じぐらい間違いのない組み合わせです。楽しみですぞ~。

スペック確認です。

アルコール度 16%
精米歩合 60%
日本酒度 +4
酸度 2.1
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりなし、加水あり、火入れ、2年熟成

目立つのは高い酸度ですね。これはかなりドライな印象かもしれません。不明であるアミノ酸度しだいで感じ方が変わりそうですね。また精米歩合が意外と低いです。65%とか70%じゃない。きれいなまとまりのある味わいかもしれません。

◆熱燗で飲んだ時の舌触りが素敵!

今回は冷酒ではなく熱燗で杯にそそいでみます。色はそこそこ黄色ですね。2年熟成のお酒としては妥当といったところでしょうか。苦味もしっかりありそうです。

香りをチェックです。アルコール感はどうかな?おおっ、そこまで刺々しくないですよ!さすがバランスが取れています。酸っぱい香り(乳酸の香り)が目立っていますが、こちらも強すぎないですね。よきかな。

飲みます。

うおおおおお~~~~~!甘みがのった滑らかな舌触りが最高!味わいのバランスが良く、まさに熱燗のためのお酒!

強い酸味がありますが、他の味と調和していて違和感がありません。温度上がることで完成度も高まるお酒ですね。いい設計です。

おそらくアミノ酸度(旨さの強さ)が高いのでしょう。旨味は酸味や苦味に対してクッションのような効果を持ちますので、お酒全体が柔らかく感じるのだと思います。

ちょっとうまく合う料理を見つけられませんでしたが、しょっぱさのある濃厚な料理がいいだろうなぁと感じました。味噌鍋とか味噌系は有望でしょうね。冷奴などではちょっと料理が負けますねぇ。

◆吟醸酒ではないからこその味わい

最近はフルーティな吟醸酒ばかり飲んでいましたが、こういう穀物っぽさ溢れるお酒もやっぱりいいですね!お酒の種類が増えれば家飲みの楽しみも2倍になるってものです。もし、苦手な方は何年かたったら再度チャレンジしてほしいですね。お酒を飲み続けると好みは意外と変わるもんです。

ちなみに冷酒で飲むと、甘さ控えめで酸味がピリピリくる味わいになります。なかなか悪くないのですが、食中で苦味が出やすいのが欠点でしたね。やはり常温以上の温度がよいようです。

「大治郎 純米 火入れ H30BY」、熱燗好きは買って間違いない1本。ぜひご自宅に招いてみてください~。