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味の傾向:黒龍の鑑評会出品用の大吟醸酒。きれいな熟れたフルーツの香りが明瞭に感じられる。味はトロトロの舌触りを感じさせる甘みから始まり、切れ味のよい苦味刺激が力強く〆る。凄みを感じるお酒だ。

合わせた料理:炙りだこの刺し身+オリーブオイル、ヒラメの刺身+醤油

僕の評価:90点/100点(黒龍らしくないがやっぱり黒龍)

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当ブログのフェイバリット銘柄の1つをご紹介ですよ~。「黒龍(こくりゅう) 八十八号 R2BY」です。入手困難商品の1つ、ようやく買えました~。嬉しい!

福井の銘酒・黒龍がつくる高級酒の1つです(4合瓶で5500円、2021年に値上がりして6600円)。いくつも高額商品がある黒龍の中でもこの八十八号は異色のお酒で、全国新酒鑑評会用のお酒を商品化したものなのですね。

新酒鑑評会は個性ではなく技術力を競う会なので、基本的にどの蔵も同じ味わいのお酒をつくります。黒龍は通常は酢酸イソアミル系(バナナの香り)の吟醸酒をつくるのですが、この八十八号は鑑評会の基本であるカプロン酸エチル系(りんごの香り)の吟醸酒になっているのです。

なので、普段の黒龍とは違う味わいになっていると思われますが、そこは黒龍、きっとうまい酒をつくっているはず!と期待しちゃいます。

スペックを確認しましょう。

アルコール度 16%
精米歩合 35%
日本酒度 +2
酸度 不明
アミノ酸度 不明
醸造アルコール添加、吟醸づくりあり、火入れ、加水あり

最大のポイントはアル添の大吟醸であるという点ですね。鑑評会では定番のつくり方です。香りのよさと味の軽快さが期待できます。酸度とアミノ酸度は不明ですが、黒龍なので酸度は低め、アミノ酸度も大吟醸のセオリー通り低いと予想できます。

さあ、味わってみましょう~。

◆後味がキレッキレで最高!

冷酒でそそいで色を見ます。照りのいいきれいなお酒です。さすが黒龍、見た目もたまりませんね~。ほんのり黄色がかっていますね。しっかり火入れされている証拠です。

期待の香りをチェック。キましたーーーー!!!すっごいはっきりしたりんごの香りです!熟れたフルーツの印象がめちゃくちゃします。そしてなにより香りがきれい!いっさいの無駄な要素がなく、美しい吟醸香を楽しむことができる。これが鑑評会用のお酒なのかぁ。

飲みます。

舌を極上のトロリとした甘みが包み込み、苦味をともなったピリッとした刺激が力強いキレを感じさせてくれる。くあー、かっこいい!

さすが、黒龍。付け加えるものなんてなにもないっす。完璧な大吟醸ですよ。うめぇ!!

まず甘みの滑らかさがやばい。カスタードクリームとかのヌルリとした舌触りがありますが、あんな印象なんですよ。そりゃうまいわ!それでいて甘すぎない。

そして肝は後味のキレ。すっごく力強くてシャープなんです。これぞアル添ならではの味わいですね。それでいてアルコール感が浮くような不自然さはなく、甘みから自然に後味に続いています。完璧な技術力を感じますね。

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お酒を主役にして飲むのが似合うので、刺し身を用意して飲んでみました。ヒラメの刺身もよかったですが、おすすめは炙りだこの刺し身をオリーブオイルで食べるスタイル。たこの塩味とオリーブオイルが完璧に八十八号とマッチし天国に行けます。ぜひやってみてください。

◆次のステージへ

まさにパーフェクト大吟醸でしたね。精米歩合35%のお酒で、このお酒を上回るのはそうとう難しいでしょう。全国の酒蔵が目標にするわけです。伝統的なスタイルの大吟醸として完成していると言えるでしょう。

個人的には、ようやく黒龍の5000円クラスの高級酒(しずく、火いら寿、八十八号)を制覇しました。遅いっすねぇ(笑)。後はさらに上の石田屋、二左衛門です。いつ手に入るかはわかりませんが、飲んだらもちろんレビューしたいですね!

「黒龍 八十八号 R2BY」、大吟醸の1つの到達点です。ぜひ飲んでみてください!