IMG_5634
味の傾向:秋田の地元スーパーで流通している一升瓶の新政。香りはフルーティというよりシロップとヨーグルトの雰囲気を感じるシンプルなタイプ。味わいは糖分多めで甘味主体だがしつこくなく、むしろ酸味と渋味のさっぱり感が目立ち真夏でも気軽に飲める。開栓しても変化が少なく、めちゃくちゃ扱いやすい。

合わせた料理:オレンジ、キウイ、りんご、マンゴー

僕の評価:80点/100点(ちゃんと一升瓶用に調整されているのがニクい)

◆◆◆

前回の高清水の近所にある酒蔵の商品をご紹介。「新政(あらまさ) グリーンラベル R2BY」です。この2蔵、とても近いんですよ。グーグルマップで調べてみてください。

一体何なんだこの新政は!と思った方は鋭い。新政は世にも珍しい、ほとんど4合瓶でお酒を出荷する酒蔵なのに、このグリーンラベルは一升瓶なのです。しかもラベルが微妙にダサい(笑)。

このお酒は秋田県限定で、酒販店(いわゆる地酒店)では流通せず地元のスーパーで販売される商品なのです。しかも要冷蔵指定でもない。つまり2回火入れなのでしょう。一升瓶で常温流通しているなんて、まるで新政じゃないみたいです!

どういうお酒なのか公式にアナウンスもないので、ファンの間でも謎の多い商品でした。しかし、最近の佐藤社長さんのツィートから、その年最初のお酒がグリーンラベルとして出荷されていることが明らかになりました。


とはいえ飲んだことある人も少なく、ほとんど情報が存在しないお酒であることには変わりありません。運良く友人経由で入手しましたので、責任持って僕がレビューいたしましょう!

スペックです。数値関係は不明ですね。

アルコール度 14%
精米歩合 不明
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
瓶詰年月 2020.10
出荷年月 2021.02
純米、吟醸づくりあり、加水不明、火入れ

まあ、さすがにこれだけだと他の新政との差はわからないですねぇ。瓶詰めしてから4ヶ月は貯蔵していたようです。14%というアルコール度は、最近の新政の13%に比べると高いですが、そこがどう影響しているのか。まあ、飲むしかないでしょう!

◆フルーツとの相性テストが楽しすぎる!

さて、冷酒でそそいでお酒の色を観察しましょう。ふーむ、かなり色づいています。薄いですが明確に黄色い。これは糖分多めの原酒を2回火入れした印象かなぁ。通常販売されている火入れの新政より、しっかり黄色いと感じます。

香りを確認。おお?あんまりフルーティというイメージを受けないぞ?好ましい香りなのですが、シンプルにシロップやヨーグルトのような素朴な印象です。よーく嗅ぐとうっすらカラメルのような熟成香が混ざっています。火入れの影響ですね。

飲みます。

柔らか~い甘味に爽やかな酸味・渋味、エッジの立った苦味。むおお、これはすっぴんの新政だ!

軽ろやかな甘酸っぱさはいつもの新政です。しかし、細部がいろいろ違いますよ!

まず炭酸がありません。新政と言えばシュワシュワした微炭酸を思い出す方が多いと思いますが、それがない。炭酸で化粧していない、素の新政なんです。

微炭酸がないことの物足りなさを、強めのアルコールからくる刺激と苦味(+コハク酸とソトロンの苦味)で補っています。これが絶妙で、炭酸がなくても「新政飲んでる感」が出ているんですよ。ここがいい。苦味も苦すぎない。

一升瓶ゆえ気軽に飲めちゃうので、かねてから新政でやりたかったフルーツとの相性チェックをしてみましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。マンゴー、オレンジはまるでフルーツカクテルみたいになりますし、りんごはリンゴ酸が大爆発して爆笑。キウイはお酒の苦さが消えて最高のマリアージュを感じました。いやー、新政と果物はやはり最高です。

◆一升瓶専用新政

飲んでみて感じたのは、このグリーンラベルは一升瓶用に調整されて出荷されているお酒なんだなぁということでした。強い火入れによってお酒の寿命を延ばし、さらに炭酸に頼らないので開栓後の味の変化も少ない。通常の新政の真逆をやっているのですが、しっかり新政の味なんですよね。見事です。

多くの新政ファンがこのお酒を普通に売ってくれと願っていると思いますが、まあ、こういう例外商品が気まぐれに販売されるのも楽しいんじゃないでしょうか。遊び心も新政の魅力ですね。

「新政 グリーンラベル R2BY」、一升瓶用につくられた新政の味、貴重な一本です。秋田でぜひ飲んでみてください。