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味の傾向:
天美の定番商品の火入れバージョン。香りは非常に穏やかな桃を思わせるフルーティなタイプ。開栓後日数がたつとだんだんはっきり感じるようになる。味わいはトロッとした濃厚な甘味、シャープで爽やかな酸味苦味がキリッと締めてくれる。実に美味。

合わせた料理:ブリの刺身+オリーブオイル+塩

僕の評価:80点/100点(火入れのレベルの高さに驚く)

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今回は山口酒でいきます!「天美(てんび) 純米吟醸 火当て R2BY」であります。あいかわらずラベルがモダンでかっこいい!

すっかり人気銘柄となった天美ですが、まだ1年目の銘柄という事実が信じられませんね。日本酒ファンの間で一気に知られるようになりましたが、入手困難にならないのが立派です。初年度から十分な生産量を準備するのは大変だったでしょう。

今回のお酒はレギュラー商品である純米吟醸(通称白天)を火入れしたものです。夏が近づき気温が上がると、生酒が店頭から少なくなり火入れ酒に入れ替わっていく。日本酒らしい四季を感じる瞬間ですね~。

こちらは生酒バージョンのレビューです。

日本酒は火入れをおこなうと、香りが変わり、色が変わり、味も変わります。また開栓後の味の変化もパターンが異なるようになります。非常にレベルの高い技術なので、酒蔵の実力が試されるのですよ。

ではスペックです。

アルコール度 15%(原酒)
精米歩合 60%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、加水なし、火入れ

やはり注目ポイントはアルコール度15%の原酒ということですね。飲みやすい度数とお酒のエキスがぎゅっとつまった原酒の組み合わせは、天美の特徴です。この作り方だと糖分が多いでしょうから、そこが火入れでどう変化するのか観察しましょう。

◆最初は香りが落ち着いているのだが・・・?

まずお酒の色を見ましょう(冷酒)。おっ、けっこう色づいています。やはり、たっぷり含まれている糖分が火入れにより変化しているのですね。苦さが増しているはずですがどうでしょう。また、微炭酸の泡も見えます。

香りをチェック。開栓直後は驚くほどにおいが少ないです!え、ほんとに天美なの?というぐらい。しかし、開けて1週間ほどで香りが開いてくるんですよ。桃やプラムのような果肉を思わせるきれいなにおいです。これは興味深い。

飲みます。

凝縮感のある、それでいて優しい甘味が主役。そこに若々しく力強い酸味が混ざり合い、余韻はじんわりした苦味がぐーっと伸びる。これはハイレベル!

見事、完成度の高い火入れ吟醸酒です。さっすがぁ!

やはり原酒らしいトロみのある甘さがメインです。そして火入れによる苦味が出ている。この苦味を悪く感じさせない味の設計がすごいんですよ。酸味(+渋味)がいい仕事しています。レモンスカッシュみたいにピチピチしている。

これだけ味がたくさん入っているのにさらりと飲める。これぞアルコール度15%×原酒の真骨頂ですよね。天美にはこれが似合います。

今回は香りに合わせて、ブリの刺身をオリーブオイル+塩で食べてみました。これいいですわ。すべての味わいがまろやかになって、引っかかるものがなにもない組み合わせです。甘いフルーティな日本酒にはだいたい合う肴なので、試してみてください。

◆持久力の高さに感心

非常にバランスよくまとまった火入れの吟醸酒でした。さすが天美です。最初は香りが少なく驚きましたが、じわじわといいにおいが増えていき、その後安定するのが良いですね。

お酒の寿命が長くなるよう調整されているのかもしれません。僕は2週間ほどで飲みきりましたが、炭酸が抜けてもピチピチした印象は変わらず最後まで楽しめました。購入した酒屋さん曰く、開栓後1か月でも大丈夫だそうですよ。すごいなぁ。

「天美 純米吟醸 火当て R2BY」、暑い季節でも安心の天美です。フルーティなお酒が飲みたくなったらぜひ選びましょう!