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味の傾向:
蔵が再開した時につくられた本醸造の古酒。香りはアルコールのにおいにカラメル、ナッツ、コショウのような香ばしい印象が混ざる。味わいは甘味旨味酸味ともに強く複雑なタイプだが、意外なほどあっさり感もありスルスル飲める。面白いお酒だ。

合わせた料理:かりんとう、貴腐ワイン漬けレーズンチョコ

僕の評価:75点/100点(高アルコール度だが素直な味わい)

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冬と言えばぁ、熟成酒の季節!ということで「金鼓(きんこ) 山廃本醸造 火入れ原酒 2003年醸造(H15BY)」をご紹介しますよ~。17年の時を経た大古酒です。なんと4合瓶で1430円!。

つくっているのは大倉の銘柄で知られる、奈良の大倉本家です。なんでも休造していた酒蔵を再開したのが2003年。そう、再開した年にはじめてつくったお酒がこの金鼓なんですね~。そう聞くとドラマチックに感じます!

今回のお酒は長期間熟成したお酒なわけですが、僕的ポイントは「高アルコールのアル添酒(醸造アルコールを添加したお酒)」というところです。以前紹介した高アルコールアル添酒である〆張鶴しぼりたて生原酒もそうですが、このジャンルは面白い味わいになりやすい。今回は熟成酒ですし、興味津々です。

さて、スペックです。全公開です。ありがたい!

アルコール度 19~20%
精米歩合 70%
日本酒度 +2
酸度 2.3前後
アミノ酸度 1.6前後
アル添、吟醸づくりなし、原酒、火入れ

まずやはり目を引くのがアルコール度20%ですね。ほとんど日本酒の限界濃度です。純米でこの度数だととてつもなく濃くて飲みづらいでしょうが、このお酒はアル添です。ほどよいすっきり感が期待できますよぉ。糖分、有機酸、アミノ酸がたっぷりの古酒、はたしてどんな味わいか?楽しみましょう。

◆濃厚なのにまったくしつこくない!

やや高めの常温(20℃ぐらい)でそそぎます。おお~、色はまさに黄金色!やや赤みがかっていますかね。アンバーのような色合いもあります。とはいえ17年経っているにしては濃くない。アル添によるエキス分の減少が効いている気がします。

香りは強いアルコールのにおいがきます!刺激的~。いわゆる熟成香と呼ばれるカラメル、ナッツのにおいに、刺激的なスパイスの香りも。コショウかな?たくあんのような香りもありますが、嫌な感じはしません。

さて、飲みます。

濃厚なのにまろやか~~~~~~~!!そして後に引かないスッキリした後味。これぞアル添だぜぇ!

これよ、これ。こんだけ濃いのになぜかあっさりしている。アル添マジックよ!

甘味と旨味の厚さがすごいです。とはいえしつこくはないです。熟成による舌触りの滑らかさがいい仕事しています。苦味もあるんですが、旨味に隠れちゃう感じ。

そして後味はスッキリしていて軽い!醸造アルコールによるエキス分低下効果です。これが高アルコールなのに軽く感じる原因なのです。

これだけ軽いので水割りせずとも食べ物と合わせられますね。僕のおすすめは茶色くて甘いお菓子。ずばり、かりんとうとチョコレートです!めっちゃ合いますよ!チョコは紀ノ国屋の貴腐ワイン漬けレーズンチョコを選びましたが、強烈にうまいのでおすすめです。



◆温度変化も楽しい

今回のレビューは9月の上旬のものを書いています。なので、暑いときの常温状態で飲んでいます。今現在(11月下旬)に常温で飲むと、香りはグッと落ち着き、甘味が控えめなややドライな印象に変化します。温度変化がめっちゃ楽しいお酒です。いろいろ試してみてください。

そしてやっぱりアル添は楽しいなぁと再確認しました!いや、ほんと、純米じゃ不可能な味ができるんですよ。ぜひぜひ飲まず嫌いせず、いろいろなアル添酒を飲んでみてほしいです。

「金鼓 山廃本醸造 火入れ原酒 2003年醸造」、とっても楽しいハイコスパ熟成酒です。気軽に高アルコールを楽しんでください!