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味わいの傾向:80%精米の無ろ過生原酒。香りは強いハーブ、薬草のような青っぽいにおいにレモンの爽やかな印象が混ざる。味は重量感あるトロリとした甘味にピリピリした舌触りの苦味が強く入り込んでくるストロングスタイル。負けない料理を合わせよう。

合わせた料理:日本酒専用アジのなめろう、カマンベールなめろう

僕の評価:80点/100点(炭酸が抜けた後の味わいも格別)

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前回に引き続き奈良のお酒を紹介していきます!「風の森(かぜのもり) 807 露葉風 R2BY」です!つゆはかぜ、と読みますよ。お米の名前がお酒の名前になっていますね。以前、507の露葉風をレビューしました。



醸造の条件を統一することでお米の味わいを最大限に引き出すのが、3つの数字をトレードマークとするこのシリーズです。その中でも807(精米80%と7号酵母を表している)はお米を2割しか磨かないがゆえに個性豊かな味わいとなります。お手頃な価格もあって、大好きな方も多いのではないでしょうか。

精米歩合80%で醸造すると、お米のタンパク質や脂質、灰分などが多く残るため、発酵が不安定になる、香味によくない要素が混ざるなどのリスクがあります。しかし、最近の日本酒の醸造技術の向上は素晴らしくて、80%90%でもきれいなお酒がつくれるようになりました。すごいですねぇ。

風の森は長年この精米歩合に取り組んできていますから、その発酵技術は折り紙付きでしょう。昔はこの807シリーズが苦手だった時期もありましたが、あえて再トライさせていただきます!

スペックです。数値系は非公開ですね。

アルコール度 17%
精米歩合 80%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、原酒、生酒、無ろ過

いつもの風の森スペックなので、ここでは判断できませんねぇ。でも、珍しいのがアルコール度17%。このシリーズだとだいたい16%なのですが、1%増えています。甘味も苦味もパンチが効いている味わいが想像できますが、どうでしょうか?

◆怒涛の甘さに大量の複雑さが混ざってドッカン!

しっかり冷やして冷酒でそそぎます。ほほう、色が濃いです!生酒なので黄色というわけではないのですが、黄緑のトーンが明確に出ています。糖分の多さ、精米歩合が高いゆえのアミノ酸の多さ、原酒といった特徴が色に出ていますね。

香りを確認します。うお、激しい!さすがアルコール度17%です(度数が高いと香りが強くなる)。生酒らしい青っぽい香り、ハーブというより薬草と表現したくなるちょっと癖のあるにおいです。そこにきれいなレモンの印象が混ざりますね。これが日本酒の香りなんですから、すごいですなぁ。

飲みます。

凝縮感のあるボリュームたっぷりの甘さに酸味・苦味・渋味などの味わいがドバっと混ざり合い大変なことに!複雑味がたまりません!

ひゃ~、まさに精米歩合80%の面目躍如です。この押しが強い味わいが風の森ですね!

まず甘いです。糖分とアルコールの暴力とも言える甘味ですね。でも舌触りはよくて、滑らかな印象です。

そこにさまざまな味がドカーッと混ざり合うので、コクがありまくりでたまりません。激しいお酒がお好みなら、間違いないっすよ!

なんか雑味だらけのお酒みたいな表現ですが、全体の味わいはフルーティでまとまっているので飲みやすいです。これぞ807の味でしょう。

料理は濃厚さのあるものを合わせてみました。アジのなめろう(ブドウと奈良漬け、パクチーを混ぜる)は、ぶどうの香りが風の森とマッチしてグッド。奈良漬け&パクチーがお酒の濃厚さとバッチリ。カマンベールなめろうは、厚みのある塩味がお酒に負けずに超イイ!最高でした~。

◆時間が経つと新しい魅力が

この807露葉風、風の森のお酒らしく微炭酸が存在するのですが、開栓後1週間も経つと炭酸が抜けます。炭酸が抜けた風の森は甘さが突出することが多く、正直苦手でした。が、このお酒はよかったですね。最初とは違う落ち着いた味わいになり、深みを感じさせるお酒に変化しました。

おそらく炭酸がなくなっても酸味や苦味で複雑さが保たれているので、甘いだけのお酒にならなかったのでしょう。香りもレモンの印象が目立ちはじめ非常にグッド。ゆっくり飲むのも試してみてください。

「風の森 807 露葉風 R2BY」、80%精米を活かした濃厚フルーティ酒、ぜひぜひ飲んでみてください!