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味の傾向:風の森の最高峰である22%精米の純米大吟醸。香りは爽やかな印象のレモンや桃のイメージ。味わいは限りなく雑味のない甘味がトロりとくる。後味の硬水由来の苦さがみずみずしい。水を楽しむお酒だ。

僕の評価:85点/100点(他の大吟醸にはない個性が光る)

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今一部でもっとも熱いと言われている奈良酒からご紹介です!「風の森(かぜのもり) ALPHA TYPE2 笊籬採り R2BY」であります。

精米歩合22%の純米大吟醸です。お米の8割近くを削っているわけで、たいへん贅沢な1本ですよ。さらに風の森の独自技術である笊籬採り(いかきどり)という特殊なしぼり方を採用しています。これで4合瓶5500円(税込)って安すぎません?

気になる点はもちろん精米歩合22%です。ここまで精米するとお酒の個性を出すのは難しくなります。特別なルールを採用することにより他の銘柄にない味わいを持つのが風の森ですが、はたして高精白のお酒をどうやってつくるのか?興味あることですねぇ。

スペックです。いつもどおり数値関係は不明ですね。

アルコール度 16%
精米歩合 22%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、原酒、生酒、無ろ過

アルコール度も風の森定番の16%ということで、22%精米の影響がもろに出ると思われます。香りはクリアになり、味わいは極限まで研ぎ澄まされるはずですが、それが風の森らしいかどうかとはまた別問題です。飲んで判断してみましょう。

◆米ではなく水を飲んでいる

もちろん冷酒でそそいで色をチェックしましょう。お酒の透明度はめちゃくちゃ高いです。少しグリーンのトーンがついています。高精白な生酒というルックスですね。そして風の森らしい微炭酸の泡はきめ細かいです。う~ん、おいしそう。

香りを確認します。フルーティな印象がふわっと漂います。レモンやミカンのような柑橘系の香りに、シャープなアルコール感が混ざります。風の森の典型的な香りですが、研ぎ澄まされていてきれいです。

飲んでみます。

極限まで洗練されたふくよかな甘味の後に、シャープで広がりのある苦味・・・これってもしかして水の味!?

なんと硬水の味がはっきり出ています!ミネラルウォーターのお酒を飲んでいるみたい!(笑)

あまりにもお酒の味がきれいなので、風の森の特徴である超硬水のテイストがダイレクトに出ているのでしょう。これは他の風の森では味わえない体験ですね。

基本の味わいはしっかりとした甘味です。かなり濃厚でずっしりくるのですが、そこは大吟醸なのでふわっとした軽さもあります。これがいい。

硬水の味は苦味なのでちょっとやだなぁと感じたかもしれませんが、ぜんぜんそんなことないです。アルコールや熟成による苦味とはタイプが異なる苦味で、むしろかっこいい。個人的には野菜を食べた時に感じる苦味を思い出しました。

◆キャラ立ちしている銘柄だと再確認

初めて飲んだ高精白の風の森、たっぷり堪能させていただきました~。5日ほどで飲みきりました。数日経つと炭酸が抜けるのですが、その後もバランスの取れた甘い味わいを楽しむことができましたね。2週間ぐらいはいけそうだなという感触です。

上にも書いた通り高精白のお酒というのは個性が出しづらくなります(お米のデンプン以外の成分が少なくなるため)。正直不安でしたが、杞憂でしたね!仕込み水を楽しむお酒なんて、脱帽ものの個性ですよ!

「風の森 ALPHA TYPE2 笊籬採り R2BY」、フラッグシップにふさわしい個性的な1本でした。飲んで後悔しませんよ!