写真 2021-10-30 20 15 57 (1)
味の傾向:新進気鋭の北海道酒蔵がつくる純米酒。香りはとても穏やかでバナナヨーグルトのような酸っぱいイメージ。味わいは純米酒らしい落ち着いたものだが、リンゴを思わせる爽快な酸味と苦味・渋味からくる複雑なコクのバランスが楽しい。面白いお酒だ。

僕の評価:75点/100点(爽やかな酸味と複雑味の対比が面白い)

◆◆◆

こんにちは。白米を食べながらお酒を飲むのが好きな神奈川建一です。赤ワインでも飲んじゃいます。

今回は北海道のお酒をご紹介します。「十勝(とかち) 純米 R2BY」であります。この前は本醸造酒をレビューしましたね~。



前回の本醸造があまりにもレベルが高かったので、即座に純米酒にも手を出してみました。醸造アルコール添加が上手い酒蔵は純米酒もおいしいことが多いんですよ。やはりアル添は技術力を要求されるんでしょうねぇ。

昔の北海道のお酒というと、ごりごりに甘いお酒という印象がありました。寒い地域だからですね。しかし、前回の十勝・本醸造は静岡のお酒か?と言いたくなるほどの淡い味わい。北海道でも全国区を相手に商売する酒蔵が出てきたことは、頼もしいことですね~。

スペックです。数値系は不明ですね。

アルコール度 15%
精米歩合 70%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、火入れ、加水あり

なんと、純米であること以外は本醸造と同じ仕様ですね。これは面白い。さすがに味わいの差が純米かアル添かの差だけではないと思いますが(アル添の方がスッキリ感じられるのが普通)、蔵元が純米酒をどう考えているのか深読みできそうです。

◆リンゴ酸と雑味の共演

冷酒でそそいで色を確認します。お、ほんのり黄色って感じですね。アルコール度15%までの加水+火入れ+純米ですから、ごく普通な見た目かと思います。精米が70%ですから、60%のお酒よりは濃い・・・かな?といった感じ(精米しないほどお酒の色は濃くなります)。

香りを確認。おお~、めちゃくちゃ穏やかですね。ワイングラスでも香りを感じるのが難しいぐらいです。ザ・食中酒のたたずまいですよ。よーく嗅ぐとフルーティなバナナの印象と乳酸由来の酸っぱいにおいが見つかりますね。飲む人に強い印象を与えないスタイルの香りです。

飲みます。

リンゴの雰囲気を感じさせる酸味が心地よい味わい!後味に渋味や苦味が混ざり穀物のようなコクを感じさせる。

これは本醸造とはずいぶん違う。しっかりお酒の味を楽しませる純米酒になっている!

リンゴ系の酸味がはっきり感じられますがメインというわけではない。甘さとほどよくバランスを取っています。主張しすぎない純米酒、いいですね~。

でも、飲みごたえがないってわけでもないんです。後味はいろいろな味わいが混ざり合い複雑です。穀物、雑穀を思わせるコクですね。こういう味わいは十勝・本醸造では見られなかったですね。このお酒の個性になっています。

料理はいい感じに似合うのを見つけられませんでした。穀物っぽいのがいいかなぁと里芋の煮っころがしとか合わせてみましたが微妙。リンゴ系の酸味ですし、果物がよかったかもしれませんね~。

◆別の商品を飲みたくなる銘柄

この十勝は本醸造に続いて2本目だったのですが、さらに別の商品も試したいと思いましたね。3本飲みたいと思う銘柄って意外と少ないですから、これはすごいと思います。

なんというか、商品ごとの個性をこれだけ上手に表現できているなら、他も飲んでみたい!と思わせるんですよ。本醸造、純米酒、ときたら純米吟醸はどうなるの?って気になる。十勝をつくる上川大雪酒造は新しい酒蔵ですが、ぐいぐいファンを増やしている理由がよくわかりました。

「十勝 純米 R2BY」、飲みやすさと個性が同居した1本、ぜひ体験してみてください。