写真 2021-12-31 19 13 45
味の傾向:山口の復活蔵がつくる冬季限定のにごり酒。香りはしっかりあり、明確なクールミントの印象。味わいはとろけるような甘味が黒糖のように感じられる。じわっと広がる苦味のキレと相まってめっちゃおいしい。

僕の評価:85点/100点(見事な完成度と個性)

◆◆◆

コーヒーみたいな苦味ばかりの飲み物をなんで人間は好きなんだと不思議に思っている神奈川建一です。お茶系ではコーヒーがとにかく好きなんです。

今回は山口です!初銘柄ですね。「大嶺(おおみね) 大嶺3粒 ゆきおんなにごり R3BY」であります~。今年もネットで大人気のお酒でしたね。

大嶺は2010年に50年ぶりに復活した大嶺酒造の銘柄です。酒蔵の跡継ぎの方が復興させたのではなく、地元出身の方が蔵を買い取って再開させたようですね。最近はこういう形の新規銘柄が増えている印象あります。天美や光栄菊などがそうですし。

このゆきおんなにごりは冬季限定のにごり酒。その特有のザラリとした舌触りが甘い味わいにマッチするということで、にごり酒は銘柄問わず人気商品になるジャンルですよね~。僕の場合、今年は鶴齢のにごり酒を飲みました。あちらは伝統的なクラシックスタイルのにごり酒でしたが、このゆきおんなはどうでしょうか?



スペックを見ましょう。数値系は不明となっています。

アルコール度 14.5%
精米歩合 58%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくりあり、原酒、火入れ、にごり酒

スペックで重要なのはアルコール度の低い原酒であることですね。発酵を途中で止めて加水せずに仕上げています。お酒の中に糖分が十分残っているはずですね。最近の低アルコール原酒はバリエーションが豊かになってきたので一概に言えませんが、濃厚な糖分がどういう働きをしているか要注意です。

◆エロティックな甘味がたまらない

もちろん冷酒でグラスにそそぎますよ~。しっかり混ぜたのできれいに白くにごっています。発泡感はほとんどないようですね。お酒をしぼった後貯蔵することで、炭酸をある程度抜いているのでしょう。

香りを確認します。おおッ、かなりしっかり香ります!スーッと涼し気な気分になるミント系のハーブみたいな印象ですね。そこにご飯のようなお米のにおいが加わるので、にごり酒だなぁとテンション上がります!アルコール度低いのにこんなに香るなんてすごいですねぇ。

飲みます。

むおおおっ!?めっさ甘味がうまい!濃厚なんだけど滑らかで・・・エッチな感じだ!

こ、これは・・・本当に日本酒の甘味なの?と思ってしまうほど、個性的でおいしい甘さだぞ!?

例えるなら黒糖やはちみつ、あとウィスキーボンボンの中身みたいな感じです。ギュッと糖分が詰まって液体になったような。日本酒でこういう味わいはめったに出会わないですね。好きだわ!

苦味の影響でしょうかねぇ・・・はっきりした苦味があるのですが、でしゃばってこないで、甘味を支えながら後味でもいい仕事をします。

甘味と苦味はバランスがいいと絶妙なおいしさを生みますが、このゆきおんなはそれがさらにユニークさにもつながっています。蔵元がこのお酒を女性に例えるのもおおいにうなづけますねぇ。

◆ブランディングが成功している

公式HPでの商品紹介で「エッチでキュン」と説明されていて、ほんとか~?なんて思っていましたが、すいません!マジそうでした!と土下座させていただきます。ここまで商品名やボトルデザインと味わいがマッチしているお酒はめったにないですね。

僕はお酒の味そのものに興味があるのでお酒のデザインなどにはそこまで気を払ってないのですが、ピタッとはまっているお酒を飲むと売り方って大切だよなぁと実感します。おいしさって味だけでは成立してないんでしょうね。それがよくわかるお酒です。

「大嶺 大嶺3粒 ゆきおんなにごり R3BY」、個性が光る傑作にごり酒、超おすすめです!