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味の傾向:群馬の土田酒造が試験醸造した限定品。香りは明確なバターのにおいにびっくりする。ほんのり醤油っぽい香ばしい印象も。味わいは濃厚な旨味加えてしっかりした甘味も混ざるコッテリとしたスタイルながら、不思議と軽く後味もさっぱりしている。冬に常温で飲むととてもうまい。

合わせた料理:奈良漬け、甘みそ餅、干しぶどう、焼きアスパラ

僕の評価:85点/100点(料理との相性も幅広くすごい)

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最近仕事がキツいので、ストレスが高まるとアルコールと高カロリー料理に手が伸びることを実感した神奈川建一です。タバコもそうだけど、ある程度は仕方がないよねぇ。

さて、前回に引き続き群馬のお酒をご紹介。「土田(つちだ) 研究醸造Data.13 R2BY」であります。僕のお気に入りの銘柄でございます~。

土田と言えば変なお酒ですが(失礼!)、この研究醸造はいわゆる試験醸造のお酒なので、よりいっそうチャレンジングなものになっているようです。いやぁ、マニアとしてはむしろご褒美と言いますか。こういうの好きな人いますよね?

今回は低アルコールでよりうまいお酒を目指す醸造だったそうですが、酵母無添加で醸造したため予想どおり発酵せず、むしろ発酵しすぎてアルコール度が上がってしまったそうです(10%を目指したが12%で着地)。

アルコール度は1%の差が大きいので、蔵の人にとっては無念だったでしょうねぇ。とはいえ、味わいはおいしいものができたということなので楽しませていただきましょう。

スペックを確認します。

アルコール度 12%
精米歩合 90%
日本酒度 -26
酸度 3.0
アミノ酸度 2.6
純米、吟醸づくり不明、加水不明、火入れ、白麹使用

土田では見慣れたちょっとおかしい数値です(笑)。吟醸づくりと加水の有無が不明ですが、土田なので吟醸香なし、ほぼ原酒の酒質だと思われます。甘味がすごく強いですが酸味も強いのでバランスは取れているはず。あとはアルコール度の低さがどう影響するか注目です。

◆濃厚なのに軽くてエレガント!

今回は寒い季節(1月)に飲んでいるので、冷酒ではなく常温で注いでみます。10~15℃ぐらいですかね。ふむ、明確に色がついています。糖分とアミノ酸が多く、精米歩合90%で火入れだと妥当な感じです。いつもの土田ですね。

香りを確認します。うおおおッ、バターの香りがきた!いやー、この香りはほんとに日本酒なの?って感じですよ。脂肪酸という成分のにおいなのですが、通常は少し不快な印象になるのにこの土田ではまるでクッキーのような香ばしいにおいに感じます。あとちょっと醤油のニュアンスもありますね。いいですね~。

飲みましょう。

旨みたっぷりの甘口酒でめっちゃくちゃ柔らかい舌触り!濃厚なのに不思議とキレがいい!

うおおお、めっちゃうまいやんけ。これすごい!!

甘味も旨味もすごく濃いのがわかるのですが、ぜんぜんしつこくないんですよね。原因はアルコールの低さと酸味の強さでしょう。アルコールが低いので軽さが出ている。クエン酸が混ざった強い酸味がバランスを取っています。

まるで大吟醸のようなエレガントな印象すらあります。バターの香りも相まって素敵なお酒を飲んでいるかのようです。

肴はなんでもいけましたが、味や香りが強くないのがよさそうでしたね。やはりお酒の味全体がライトだからでしょう。奈良漬け、焼きアスパラ、干しぶどう、甘みそ餅、バラバラですが共通点は軽い香味です。

◆今後の土田の低アルコールが楽しみ

予定通りにいかなかった試験醸造酒とのことでしたがすばらしく美味でした。満足ですねぇ。土田にはレギュラー商品でTsuchida12という低アル日本酒があるのですが、そっちも飲んでみたいですね。低アル新商品も期待しちゃいます!

このお酒は夏頃に発売されたそうで、暑い季節では冷やして酸味を強調するのがおすすめだそうです。今回は真冬に常温で飲んだレビューということをご考慮くださいね。

「土田 研究醸造Data.13 R2BY」、またまた低アルコール日本酒の新しい可能性を感じる1本でした。超おすすめです!