写真 2022-05-10 20 31 12
味の傾向:天青の通年販売の純米吟醸酒。ほのかなフルーティな香りと淡くあっさりした甘味を持つライトなお酒だ。食中での合わせやすさはピカイチ。

合わせた料理:ピーマン、ちくわの天ぷら

僕の評価:70点/100点(淡いお酒が好みならぜひに)

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ぼんじり(鶏のしっぽ)をえらい苦労してさばいて唐揚げをつくったら、普通の鶏肉と差を感じられなかった神奈川建一です。

さて、前回に引き続き神奈川・天青のお酒をレビューです。「天青(てんせい) 千峰 純米吟醸 R3BY」であります。こちらも通年で販売されている定番酒ですね。

前回の特別純米の記事はこちら。


特別純米酒は無ろ過原酒でその濃厚さにびっくりしましたが、こちらは原酒表示がないので普通に加水(水でお酒を割っていること)されているようですね。アルコール度数は同じく15%ということで、天青はこの度数を得意としているようです。

15%は日本酒らしさと飲みやすさを両立できる便利な度数なので、いろいろなところで使われています。特に加水されて15%のお酒は、本醸造や純米酒のような常備酒的なお酒でよく見られますね。

ただどれだけ加水しているかは蔵によって異なります。19%の原酒を加水して15%にしているのか、もしくは17%の原酒を加水して15%にしているのか。その差が味の個性になるのですね。この天青・千峰はどうでしょうか?

スペックです。

アルコール度 15%
精米歩合 50%
日本酒度 +1.5
酸度 1.3
アミノ酸度 1.2
純米、吟醸づくりあり、加水あり、火入れ

日本酒度やや低めで酸度低めなので、甘味が感じやすいお酒のように見えます。アミノ酸度がやや高いのが気になりますねぇ。天青らしい複雑味があるのでしょうか。

飲んでみましょう。

◆めっちゃ加水してるでしょ!

しっかり冷やしてグラスにそそぎます。ふーむ、程よく黄色に色づいています。精米50%で加水してこの色かぁ。そこそこ熟成しているのでしょうか。半年ぐらいかな?

香りを確認します。おや、穏やか!ほんのり華やかな甘い吟醸香がありますが、ワイングラスでようやく気づくレベルです。味わいも淡そうな予感がしますよぉ。

飲みます。

うおお、めっちゃ軽い!ライト、とってもライト!ふわふわした淡い甘味を楽しむ感じだ!

これはすっごく加水していますね。ペールトーンの純米酒だ!

やはり日本酒度+1.5なのでちゃんと糖分が感じられます。甘口のお酒と言っていいと思います。しかし、お水でしっかり薄まっているのでふわっとした印象に。原酒の甘さとはまるで質が違います。

そして後味に苦味や酸味などが混ざった複雑味があります。天青のトレードマークですね~。これがあるのできれいなだけの味わいになっていません。余韻も長く、アミノ酸度の高さを感じますね。

食事はどんなものにも無理なく合いますが、素材感が強い食事がよさそうですね。僕は天ぷらに合わせました。ピーマンなどの野菜天ぷらはいいかんじですよ!春菊などもおいしそうですねぇ。

◆淡いお酒を楽しむ

かなり加水してあるタイプの甘口酒でしたね。原酒系の凝縮感ある甘さとは全然違うお酒ですが、アルコール度のおかげで日本酒らしさがしっかり残っているのでお気に入りです。加水サイコー!

お酒ができたあとに水を加えるというのは、醸造酒としてはかなりイレギュラーな工程です。これもアルコール度を高くできる日本酒ならではと言えます。ぜひ加水のテクニックにも注目してみてください。

「天青 千峰 純米吟醸 R3BY」、薄まった甘さを楽しむ良酒です。その水の量に注目してみてください。