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味の傾向:山形の蔵が出す熟成された純米大吟醸。山形らしい華やかなフルーツの香りは洗練されていて気持ちいい。味は豊かな甘味が魅力だがサラリとしている。そしてすばらしい滑らかな舌触り!傑作だ。

合わせた料理:バラ焼き(牛肉と玉ねぎを甘く炒めたもの)、肉うどん

僕の評価:90点/100点(衝撃的でした)

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実家に帰ると高確率で茹でたモロヘイヤ(ネバネバしたほうれん草みたいな野菜)を食わされることが苦手な神奈川建一です。もうちょっと調理を工夫してくれよ・・・。

今日はみんな大好き山形のお酒をご紹介!「栄光冨士(えいこうふじ) 純米大吟醸 熟成蔵隠し ひやおろし R3BY」です~。このブログでは初登場の銘柄ですね。

ひやおろしというのは、冬につくったお酒をひと夏超えて熟成させた秋の風物詩と言われている日本酒です。楽しみにしている人も多いですが、嫌っている人も同じく多い印象ですね。酒屋さんでもひやおろしは入荷させない!なんてところもあるんですよ。

こんなに嫌われることもある理由はひやおろしの香りです。日本酒は熟成することで特有の香り(カラメルやたくあんのにおい)が出るのですが、これが現在主流の吟醸酒のフルーティな香りを邪魔するからです。よく老ね香(ひねか)と言われるのがこれです。

とはいえ熟成されたお酒は、されてないお酒にはない魅力があるのも事実なんですよね。はたしてこの栄光冨士のひやおろしはどうなのか?楽しみです。

スペックを見ましょう。栄光冨士は業界トップクラスの情報公開度を誇る酒蔵なので、むちゃくちゃありがたいです!

アルコール度 16.8%
精米歩合 50%
日本酒度 -4.0
酸度 1.5
アミノ酸度 0.7
純米、吟醸づくりあり、火入れ、原酒、1年以内の熟成

アルコール度が17%に近い原酒ということで、間違いなく濃い味わいなのでしょう。日本酒度もマイナスということで糖分がしっかり残っていることがわかります。酸度は普通ですがアミノ酸度がとても低いです。あっさり感が出てくるかもしれませんね。

◆熟成されたお酒の美点はその滑らかさ!

キリッと冷やしてグラスにそそぎます。お酒に色はほとんどついてませんね。クリスタルみたいな外見です。原酒なのにこのきれいさ、どこがひやおろしなんねん(笑)。おそらく丁寧に氷温で熟成させたのでしょう。老ね香対策していますね(0℃以下で保存すると日本酒はほとんど色がつかない&熟成香が出ないのです)。

香りを確認しましょう。おほ~~~無駄なにおいのないきれいなフルーティ香がします!最適な熟し方をした赤リンゴって印象ですね。りんごのはちみつを予感させる香りです。言われないとひやおろしだとはわかりませんよ。

飲みましょう。

むちゃくちゃまろやか~~~~な甘味!まさに甘露。まるでひっかかりを感じさせないぞ!

す、すげ~~~~!?ビビるぐらいに上品な甘味です。これが熟成の力か!

アルコール度が高いのでピリピリした刺激はあるのですが、驚くほどおだやかで甘味の邪魔をしない。お酒の印象がすごくいいです。

熟成させるとどんなお酒もアルコールの刺激がおだやかになり、何とも言えない美味な印象になります。この栄光冨士でもその効果がしっかり出ています。

さらに旨味が控えめ(=アミノ酸度が低い)ため濃厚さがほどよく抑えられていて飲みやすい!!めっちゃいいですよこれ!

山形のお酒は肉に合うのですが、この栄光冨士は米沢牛の焼肉よりもうちょっとカジュアルな料理が合うでしょう。そこでバラ焼きと肉うどんにしてみましたが最高でしたよ!どちらも醤油・みりん・砂糖で味付けするので甘い栄光冨士と合わないわけがない。おすすめです。

◆インパクトのある味わいを洗練させるということ

栄光冨士は昔に飲んでインパクトあるけど大味って思っていました。しかし、この熟成蔵隠し飲んでイメージが大きく変わりましたね。細部のコントロールが行き届いたすばらしい1本でした。

ちなみにこのお酒は使用しているお米が五百万石100%だそうです。甘さの出にくいさっぱりした味わいになる酒米なのですが、そこも僕好みだったのかもしれませんね。

「栄光冨士 純米大吟醸 熟成蔵隠し ひやおろし R3BY」、熟成された甘さを見事なレベルで表現したお酒です。超おすすめです!

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