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味の傾向:農口尚彦研究所のセカンドブランドのお酒。バタークッキーのような濃厚な香りに、ずっしりとした余韻の長い甘味・うま味が特徴的な味わい。唯一無二の個性がすさまじい。

合わせた料理:うるめいわしの干物、しめ鯖、鶏つくね、たぬきつね丼(油揚げと天かすの卵とじ丼)

僕の評価:90点/100点(人は選ぶけど僕は大好き)

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 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川建一です。

 今回は石川県のお酒です。「観音下(かながそ) 2018 Vintage vol.2」であります!ぜったい「かんのんした」って読んじゃいますよね、これ(笑)。

 こちらは、あのお酒の神さま・農口尚彦さんが杜氏をつとめる農口尚彦研究所の新ブランドです。ワインなどではよくあるセカンドブランドというやつですね。高級志向でブランディングしている農口尚彦研究所らしい展開です。

 農口尚彦研究所は立ち上げ時のクラウドファンディングから注目していまして、その後いくつか買って飲んでみました。しかし、あのアルコール度数の高さと味のバランスが好みに合わず、最近はずっと飲んでいなかったのです。あれはキツかったなぁ。


 最近ふらっと入った酒屋でこの観音下を見つけまして、「お手頃価格のお酒も出すようになったのか!」と思い買ってみました。日本酒はつくり手の考えしだいでいくらでも変化するお酒です。きっと当時より味が変わっていると思うので、再チャレンジしたいと思います!

 スペックを確認しましょう~。

 アルコール度 18%
 精米歩合 不明
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 醸造アルコール添加、吟醸香あり?、火入れ、原酒(たぶん)、約4年熟成

 ほぼ数値が不明なお酒ですが、重要なポイントがいくつかあります。まずアルコール度18%でアル添であること。パワフルな味わいですが、すっきりしていて飲みやすいはずです。

 また4年以上熟成しているということで、普通の吟醸酒とはまるで違う複雑な味わいが期待できます。ワクワクしてきますね~。

◆バケモノ級の個性!

 冷酒でグラスにそそいでみます。これはこれは・・・。ちょっとにごった黄色、いや茶色でしょうか。無ろ過原酒をしっかり熟成した印象です。もうこの時点で普通じゃありませんな!

 香りを確認します。ぬおおお、なんじゃこりゃあ!!濃密な甘いにおいと、脂質がこげたような香ばしいにおい。バタークッキーみたいだ!!ほんとうに日本酒ですか?という印象。熟成酒にありがちなネガティブな香りは感じません。

 飲んでみましょう。

 たっぷりの甘味とうま味に余韻の長い苦味が混ざった味わいはまさにパワフル。こってりした味わいながら後味はキレよく、飲み続けるのが苦じゃない!

 すっげぇぇぇぇ・・・・・、なんなんですかこのお酒は。ほんとうに日本酒ですか?(2回目)

 とにかく重厚な味わいです。そりゃアルコール度18%で4年熟成ですから当然です。しかし、普通の熟成酒とはまるで違う印象ですよ。香りの影響もあって、焼き菓子のようなイメージです。甘みがおいしいんですね。

 そして後味の不思議な軽さ!苦くて舌がピリピリするのですが、サラッとしていて飲み疲れない。これぞアル添の効果です(醸造アルコール添加すると日本酒は軽く飲みやすくなります)。さすが農口さんですね。アル添の技術が抜群です。

 このお酒が驚きなのは、食事との相性の広さです。こんなに度数の高いお酒なのに、ご飯と飲んでも違和感ありません。これちょっと訳わかりませんよ!

 普通は苦味が料理をじゃまするものですが・・・卵でとじた丼ものも余裕でした。しめ鯖なども鯖の酸味とお酒のうま味が調和してばっちりでしたよ。すげ~。

◆天才がつくるとこうなるという見本

 いやもう、驚きしかない日本酒でした。日本酒はつくり手の個性がダイレクトに反映されるお酒なのですが、一流がつくるとこういう理解を超えたモノが生まれるのです。これだから日本酒はやめられないですね。

 この観音下はフルーティな香りもないですしそこそこ人を選ぶとは思いますが、度数の高いどっしりとしたお酒を好まれる方にはぜひ試してみてもらいたいですね。昔の農口尚彦研究所のイメージがくつがえされるすごいお酒です!

 「観音下 2018Vintage vol.2」、バタークッキー系熟成酒、あたらしい味わいを楽しんでください!

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