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味の傾向:福島の酒蔵がつくる熱燗向けの純米酒。里芋のようなほっこりした香ばしいにおいと、ヨーグルトのような酸味の香りが好ましい。味わいは穀物を思わせるじんわりとした甘味がやわらかに伸びていく。素朴なのに洗練されていてついつい飲んでしまうぞ。

合わせた料理:ピクルス、6Pチーズ

僕の評価:80点/100点(しっかりオリジナリティがある)

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 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川建一です。

 今日は福島のお酒です!「にいだしぜんしゅ しぜんしゅ 燗誂 生酛純米酒 R2BY」であります。いろいろな酒屋さんで見かける人気の銘柄ですね。

 にいだしぜんしゅは、お米から仕込み水まで徹底して自然環境に配慮したブランドです。全商品が蔵独自の4段仕込み(※)で醸造されるそうですよ。

※お酒の発酵時にお米を余分に加える技術。お酒が濃厚になる。

 この燗誂はその名のとおり熱燗向きの商品としてつくられたお酒で、1年以上熟成させてから販売されるそうです。最近飲み会で飲んだら、全員が絶賛するうまさだったので速攻で買ってきましたよ!

 スペックを確認しましょう。

 アルコール度 14%
 精米歩合 80%
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 純米、吟醸香ちょっぴり、加水不明、火入れ、4段仕込み、2年熟成

 一番重要なのはアルコール度14%です!軽めの熱燗酒とは珍しい。さらに精米歩合が80%ということで、コクがある味わいが期待できます。軽いのにコクがあるという、ある意味相反する要素が同居しているお酒です。こいつは興味深いですよ~。

◆穀物感たっぷりの甘味にノックアウト

 まずは常温で確認します。色はしっかりイエローですね。透明度は高いみたいです。ただ4段仕込み・精米歩合80%・2年熟成にしては色が薄いような気がします。加水してますかね?

 香りを確認します。ああ~、香ばしい穀物の香り!これはいいです、安心しちゃうにおいですね。僕としては里芋とかさつまいもの印象です。そこにヨーグルトのような香りが加わってさわやかですね。飲んでみましょう。

 はあ~~~~~~~、ほっこりする。甘味がじんわり体にしみる!

 甘味がすっごく印象的ですね。まさに穀物(お米とか芋とか麦とか)が持っているような穏やかな甘さです。そこに程よい感じで苦みや渋みが混ざるので、より一層穀物っぽい!

 この味がじわ~っと続いてそのまま消えていくのがたまりません。いわゆるキレと言われる後味のシャープさがほとんどないのですね。その結果、他のお酒にはない不思議なまろやかさを感じます。

 熱燗にするとさらに軽やかになって酸味がぐっと前面にでてきます!これは発酵食品とか合いそうな予感ですよ~。

 あまりにも飲みやすいので、ついつい肴なしで飲んでしまいましたが、酸味のあるピクルスはなかなかでしたね。これはぬか漬けや浅漬け、たくあんみたいな酸味を持つ食べ物がやばいでしょうね~。もちろんチーズも最高!6Pチーズでもぜんぜん楽しめました。

◆低精白の欠点を克服したお酒

 ほっこりした甘味うま味がしっかりありつつも、モダンで洗練された低精白日本酒でした。低精白でモダンなタイプはいろいろあるのですが、穀物っぽさをいかしたお酒はあまりないので、この燗誂の味は貴重ですね。

 それでいて低精白の欠点(人によっては不快な香り)をしっかり克服しているのがすばらしいです。モダンとクラシックが混ざったような独自のスタイルが見事ですね。

 「にいだしぜんしゅ しぜんしゅ 燗誂 生酛純米酒 R2BY」、傑作低アルコール熱燗酒です。1年を通して楽しめますよ!

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