写真 2023-05-23 20 48 27 (1)
味の傾向:モダン山廃スタイルを名乗る低アルコール日本酒。グリーンハーブ、ヨーグルト、メロン、キウイをイメージさせる複雑な香りにびっくり。味わいもボディがあり飲みごたえたっぷり。甘味と苦味の混ざり方が独特で、低アルとは思えないテイストだ。

合わせた料理:ナチュラルチーズ

僕の評価:80点/100点(この複雑さがたまらない)

◆◆◆

 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川建一です。

 今回は石川県のお酒です!「吉田蔵u(よしだくらゆー) 石川門 生酒 R4BY」であります。手取川をつくっている吉田酒造店の新しい銘柄ですね。

 友人がうまいぞと推薦していたのですが、飲む機会がなかったので買わずじまいでした。ですが最近お店で飲む機会があり、これはちょっとすごくない?と気になったので、すぐに買ってきました。

 吉田蔵uのラインナップを見る限り、低アルコール日本酒(一般的に14%以下の日本酒のこと)にこだわった銘柄のようで、この石川門も13%でつくられています。流行のスタイルということで、他のお酒とどう差別化されているかが注目ポイントですね。

 スペックを見てみましょう。

 アルコール度 13%(原酒)
 精米歩合 60%
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 純米、吟醸香あり、原酒、生酒

 アルコール度13%の原酒ということで、流行っている醸造スタイルど真ん中ですね!発酵を途中で止めているので、本来ならアルコールになるべき糖分が、お酒の中にたっぷり残っています。この大量の糖分をどう活用するかが、味わいを決めるので確認してみましょう。

◆13%なのにこんなに複雑な味になるんだ!

 しっかり冷やしてグラスにそそいでみます。色はしっかりしていますね。さすが原酒です。グリーンイエローといった感じでしょうか。生酒特有の緑色が混ざっています。よく見ると粒子のようなものが舞っていますね。無ろ過なのでしょうねぇ~。炭酸の泡も見えます。

 香りを確認します。むおっ!?すごく複雑な香りです!え~、これはすごいですよ。ハーブのような青っぽいにおい、そこにヨーグルト、キウイ、メロンといった印象が絡み合って芳醇な感じです。アルコール度17%なら納得ですが、13%でこれはちょっと信じられません。飲んでみましょう。

 ずっしりくるフルボディの味わい!香りと同じく複雑でコクが半端ねぇ!!

 すーーーーげーーーーー!!ゴツい無ろ過生原酒をそのまま低アルコール酒にしたみたい!

 やはり低アル原酒らしく甘味はたっぷりです。しかし、よくあるシンプルで軽い印象ではなく、苦味や刺激が複雑に混ざった重厚感あるタイプです。

 こういう味わいはアルコール度が高ければ難しくないのですが(アルコール自体が苦いため)、13%ではかなり難易度が高いはずです。よく実現できましたねぇ。

 かなり濃厚なので、僕的には料理と一緒より、おつまみを食べながらお酒メインで楽しむのがおすすめです。その方がこのお酒の複雑さも味わえますしね。やはりチーズがよかったですねぇ。なんでも大丈夫ですけど、青カビチーズや硬いハードチーズが好みでした。コクがあるタイプがいいと思いますね。

◆低アルの進化がとまらない

 一昔前の低アルコール日本酒は、甘すぎる味わいを強い酸味で無理やりバランスを取る、みたいなタイプが多かったです。しかし、ここ数年の商品は本当にバリエーション豊かになりましたね。この吉田蔵uも、そんな傑作低アルコール日本酒だと思います。

 毎回のことですが、日本酒はつくり手の創意工夫が味わいをあっという間に進化させる酒類です。日本酒の海外進出が進む中、どんな発展を見せてくれるか楽しみですね。

 「吉田蔵u 石川門 生酒 R4BY」、またまた現れた傑作低アル日本酒です。ぜひ飲んでみてください!

写真 2023-05-23 20 48 14