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味の傾向:秋限定発売の純米酒。青りんごやラ・フランスのような果実香があるが、全体の香りは控えめ。味はボリュームがあり、まろやかな甘味をたっぷり楽しめる。苦さをともなった長い余韻も気持ちいい。まさに秋に飲みたい食中酒だ。

合わせた料理:油揚げのカリカリ生姜オイスター炒め、ピーマン煮浸し、冷麺風そうめん

値段:1485円/720ml

僕の評価:75点/100点(秋の食材で飲みたい)

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 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川健一です。

 今回はまた福島のお酒をご紹介です!「廣戸川(ひろとがわ) 純米 秋あがり R4BY」となります~。

 前回飲んだ同じ廣戸川の特別純米が最高すぎて、すっかりファンになってしまいました。今回のお酒は秋限定の商品ということで、いわゆる「ひやおろし」と呼ばれるカテゴリーのお酒になります。



 6ヶ月ほど低温で熟成された商品だそうです。使っているお米や酵母が、廣戸川の定番商品・特別純米と同じということで、ほぼ特別純米の熟成版と言えそうですね。

 昔のひやおろしはただ苦味が増しただけという商品も多かったので、ひやおろしが苦手な方もいるのではないでしょうか。しかし、最近は適度に苦味が抑えられ、熟したうま味を楽しめる商品が増えているそうです。この廣戸川・純米秋あがりの味わいも楽しみですね~。

 スペックを確認しましょう。

 アルコール度 16%
 精米歩合 65%
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 純米、吟醸香あり、加水あり、火入れ、6ヶ月熟成

 上で書いた通り、ほぼ廣戸川・特別純米とスペックが一緒です。唯一違うのが精米歩合ですね。特別純米では55%だったのが65%となっています。精米歩合が高くなると(=お米をあまり磨かないと)、うま味の素となるアミノ酸などが増加します。熟成による味のりをより活かす調整なのでしょう。期待できそうですよ~。

◆豊かな甘味にうっとり

 冷酒でグラスにそそぎます。お酒の色は黄色く色づいていますね。とはいえ、濃いかと言われると全然そんなことはないです。熟成による香ばしい印象は少なそうですね。

 香りを確認しましょう。おおっ、上品な青りんごのにおいです!ラ・フランスとも言えそうですね。ちょっと青っぽく酸味を予感させるフルーツの印象です。これがほんのりと控えめに感じられます。このバランスがたまりませんね!さすが廣戸川です。

 飲んでみます。

 ふわ~~っと広がる豊かな甘味!実にボリューミーだ!!

 グッと奥行きのある味わいです。これぞ秋あがり(ひやおろし)でしょう!

 甘口というほど甘味は強くないのですが、じんわり染みわたる甘さが見事なお酒です。落ち着いていて、でも豊かな味わいですね。

 苦味がしっかりあるおかげで、全体がキリッとしています。後味の余韻もじわ〜っと長く、ゆっくり味わいを楽しめますね。

 料理は濃いめの味付けで、シンプルなものがよかったです。出汁と醤油で煮詰めた焼きピーマンや、オイスターと生姜で炒めた油揚げなどがおいしかったですねー。あと、強い酸味がある料理もおすすめ。酸っぱい冷麺風そうめんは素晴らしい相性でした!

◆設計の緻密さに感心するお酒

 精米歩合の違いによる、味わいのバランス調整が堪能できるお酒でした。こういう感じに完成するのか〜って頷きながら飲んでいましたね。

 それでいて極端に味わいが偏ったりしていません。どこから見ても廣戸川のお酒になっています。緻密な設計と丁寧な醸造が生んだバランスなのでしょう。こういうお酒をたくさん飲みたいものです。

 「廣戸川 純米 秋あがり R4BY」、ひやおろしとして素晴らしい完成度。ぜひ飲んでみてください!

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