写真 2024-03-30 20 11 04

味の傾向:愛知県の酒蔵がつくる人気の純米大吟醸。味をぎりぎりまで削ぎ落とした、ドライでシャープな味わい。むちゃくちゃ軽いお酒なので、淡白な料理から濃厚な料理まで自由自在に合わせられる。

合わせた料理:だし巻き卵、サーモンの和風カルパッチョ、豚ロースとソーセージのポトフ

値段(税込):3960円/720ml

僕の評価:80点/100点(まだまだ伸びしろある)

◆◆◆

 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川健一です。

 今回のレビューは愛知県のお酒です。「蓬莱泉(ほうらいせん) 純米大吟醸 空」です!「そら」ではなく「くう」と読みますよ。蓬莱泉は当ブログ初登場ですね~。

 この純米大吟醸・空は、蓬莱泉のラインナップの中でも特に人気の1本でして、名前を知っている方も多いのではないでしょうか?以前からずっと評判がいいようで、おそらく淡麗辛口ブームの頃に名声を獲得したんじゃないかなーと睨んでいます。やや入手困難で、プレミアム価格で販売されているところも見かけますね。

 自分も名前だけ知っている勢だったので、いっちょしっかり飲んでみるかぁ!と購入してみました。4000円近いお値段に若干怯みましたが、買わないで後悔するより、買って後悔です!

 スペックを見てみましょう。

 アルコール度 15%
 精米歩合 40%
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 純米、吟醸香あり、加水あり、火入れ、1年熟成、活性炭ろ過

 精米歩合が50%を切っている、正真正銘の大吟醸酒ですね。多くの酒蔵さんでフラッグシップの商品になるタイプです。1年の熟成期間も、大吟醸ではよくある仕様ではないでしょうか。加水をしてアルコール度を15%にしている点も、典型的と言えそうです。

 そして重要なのが、活性炭ろ過をしている点ですね。新潟県のお家芸ですが、愛知の蓬莱泉はどう活用しているのでしょうか?

◆シェイプアップされた味わいに驚き!

 キリッと冷やしてグラスに注ぎます。外見を確認しましょう。これは、めちゃくちゃ透明度高いですね!ほぼ完全に色がついていません。活性炭ろ過をしっかり行っている結果でしょう。

 香りを確認します。すご~~く穏やかです!ほんの少し桃のようなにおいがあります。ヨーグルトや、アルコールのにおいもちょっとだけ存在していますね。活性炭でいろいろなにおいが除去されていますが、フルーツ香はしっかり残せているみたいです。

 飲んでみます。

 むちゃくちゃ味が細い!軽い!極限まで味をしぼったスリムな大吟醸だ!

 こ、こうきたか~。ドライでシャープですが、味がすごくシェイプアップされているんですよ。

 大吟醸らしい、滑らかな舌触りの甘味はしっかりあります。ていねいに熟成された大吟醸の証ですね。ただ甘味は早めに消えて、酸味と軽いピリピリした刺激がメインとなります。これがドライな印象をつくっていますね。

 ポイントは、うま味が徹底的に削られていることです。日本酒の特徴と言ったらうま味なのに、まるで存在しないみたい!このおかげで、驚くほどスリムな味わいになっているのです。

 これだけ軽い味わいだと、日本酒の常識を超えたペアリングもできそう!蔵元は淡白な料理を勧めていましたが、個人的には味の濃い料理にスッと合うのが楽しかったですね。例えば、ポトフみたいな濃厚な料理とは、普段は日本酒を合わせたりしないのですが(口の中が濃くなりすぎるから)、蓬莱泉・空は軽やかにマッチしてくれました。日本酒ではめったにない、レアな体験でしたねぇ。

◆まだいろいろな可能性がありそう

 飲んでみると、さまざまな料理とのペアリングアイデアが思いつく、万能の食中酒でした。長く人気の商品だったのも納得ですね!刺し身を肴にしたオールドスタイルで飲んでもよし、僕みたいにフリースタイルに飲んでもよしです。

 活性炭ろ過されたクラシックなスタイルの大吟醸なので、モダンな日本酒の芳醇な味わいに慣れた方には、物足りないかもしれません。でも、料理と合わせると可能性は無限大です。ぜひ、自由に楽しんでみてほしいですね。

 「蓬莱泉 純米大吟醸 空」、スリムでドライな万能大吟醸でした。特別な時にどうぞ!

写真 2024-03-30 20 10 55