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味の傾向:福島の名門がつくる定番の純米酒。まろやかな口当たりにほんのりとした酸味。キリッとした後味が見事な余韻をつくる。和食を何倍もおいしくしてくれる1本だ。

合わせた料理:野菜天ぷら、カレーうどん、手巻き寿司

購入価格(税込):1390円/720ml

僕の評価:80点/100点(理想の常温酒)

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 こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川健一です。

 本日は福島酒をレビューします。「大七(だいしち) 生酛純米」となります~。よくスーパーなどで売っている、定番中の定番日本酒ですね。特徴的な外箱を見たことがある方も、多いのではないでしょうか。

 最近は日本酒を常温で飲むことにチャレンジしてまして、それならば大七だろう!ということで購入してきました。日本酒を冷酒で飲むのはわりと最近の流行で、もともとは常温か熱燗で飲むことが多かったはず。そうであれば、昔ながらの和食に合うのは常温以上の温度帯では?という狙いですね。

 大七と言えば福島の大手酒蔵ということで、安定感が半端ありません。そんな酒蔵がつくる定番酒は、めちゃくちゃつくり込まれているはずです。期待値上げまくりで飲んでみようと思いますよ~。

 スペックを見てみましょう。

 アルコール度 15%
 精米歩合 69%
 日本酒度 不明
 酸度 不明
 アミノ酸度 不明
 純米、吟醸香なし、火入れ、加水あり、超扁平精米、1年熟成

 吟醸香なしの純米酒としては、ごくごくノーマルなつくり方ですね。精米歩合が高めですがこのお酒は扁平精米ですので、実質5~10%ほど低いと考えていいのでしょう。そう考えると、精米歩合も地酒基準ではごく普通と言えそうです。熟成は1年なので、しっかり落ち着いた味わいが期待できそうですね。

◆しみじみうまい

 常温でグラスにそそいでみます。外見を確認しましょう。透明度高いですね~。しっかりイエローのトーンがありますが、気にならないレベルです。精米の効果と、糖分の少なさ、加水の多さを感じさせます。

 香りをチェック。あー、昔ながらの日本酒という感じです。ほんのりとしたアルコールのにおいと、若干の香ばしい印象ですね。でも香りは強くないので、おちょこなどで飲む場合はほぼ気にならないでしょう。

 飲んでみます。

 「味がしっかりあるのにめちゃくちゃまろやか!料理との馴染みぐあいが半端ねぇ!!」

 こ、これは・・・。すっごいハイレベルな食中酒じゃね!?

 全体の印象は華やかさのない日本酒という感じ。しかし、細部がきれいに調整されていて、杯が止まらなくなるやつですね。

 口当たりはちょっと甘くて心地いい。そして中盤は意外な強さの酸味がくる。そしてフィニッシュはアルコールと香ばしい香りが膨らみ、なんとも言えないスモーキーなキレを感じさせてくれます。このリズム感、やばいっすね。

 もー、食事が合うこと合うこと!本醸造などにありがちな、食中で苦みが目立つということもないので、個人的にめちゃくちゃ飲みやすかったです。天ぷら、うどん、寿司みたいな、醤油・みりん・出汁を使った料理はもれなく全部おいしくしてくれます。冬になったら熱燗がさぞかしおいしいのでしょうなぁ。

◆常温のおいしさがわかるお酒

 すでにいくつか常温で飲むためのお酒を買って飲んでいるのですが、いまのところピカイチでお気に入りですね。純米の食中酒はこうであってほしい!が具現化している印象です。これ1本ですべての晩酌をこなしているご家庭も、福島にはけっこうあるんじゃないかなぁと想像します。

 他に常温で飲んでみて気づいたのは、お酒の区別がつきにくくなることですね。香りを重視しない飲み方をすると、お酒ってわりとどれでもよくなるみたいです。差別化をがんばらないといけない最近のお酒が、どれも冷酒で飲まれるのは理由があるんだなぁと思いました。

 「大七 生酛純米」、これからの季節、和食を楽しむなら超おすすめの1本です。常温か熱燗でどうぞ!

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