こんにちはー、神奈川建一です。

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日本酒が長い歴史を持ってることは、皆さんご存知だと思いますが、 今日の日本酒に続く製法が確立したのはいつ頃かご存知ですか?正解は・・・そう!「江戸時代」ですッ!!

寒造り、生もと、火入れなどの基本が全て揃ったのが江戸時代、その300年の太平の時代に日本酒は完成し進化したのです。今も銘酒の地として名高い灘、伏見のお酒が確立したのもこの時期ですね。

んじゃ、江戸時代のお酒は今のお酒と同じ味だったのん?と思われるかもしれませんが、全然違います!特にお米の精米については、人力、良くて水車という時代なので、1割精米がせいぜい、頑張っても2割がやっとだという話です。一般的に、日本酒で使うお米は、削るほど澄んだキレイなお酒ができると言われています。

参考:「江戸時代の酒は薄かったのか?」


精米歩合が低いお米で日本酒を造るとどうなるか?発酵過程で多くの雑味と甘みが発生する、(今から見ると)極端に濃いお酒が出来上がります。実際、当時のお酒に関する文献「和漢三才図会」を参考にして造られた「開春 寛文の雫」は、醤油の香りが香ばしいびっくり酒に仕上がってました。ちなみに精米歩合は90%です。

ところが最近、江戸時代の造りを理想とするあの新政が、94%精米のお酒を出してきました。それが、今回ご紹介する「新政 日本酒古典技法大全 九割四分磨き精米」であります!



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 精米歩合94%!?これはもう、ほとんど削ってないようなモンです。なにせ、一般的なパック酒ですら、精米歩合70%ですから。現代の日本酒の常識ではありえない数字です。こういう変な個性的な挑戦をするから、新政は楽しいんですよねぇ。

しかし、僕は1つ危惧していることがあります。それは過去新政は低精白(精米歩合が低い)お酒を醸してるのですが、これが・・・・その・・・名状しがたい味でして。まあ、ぶっちゃけ、とっても不味いものだったんですよ。 


参考: 秋田「新政 ECO純米Ⅰ 85」ベトベトのセメダインが最後まで主導権を握る


22BYなんで4年前ですか、純米85、純米90という2つのお酒が発売されたのですが、まーこれが酷かった。上の記事のブログ主である空太郎さんがおっしゃる通り、セメダイン臭と味ばりばりで良くないお酒だったのです。

しかし、新政は佐藤社長のもと、凄まじい勢いで技術革新している蔵。26BYからは全量生もと化までなしとげてます。4年の進歩がどの程度のものか、確かめさせてもらおうじゃないか!そんな気分で購入させていただきました。さあ、開栓の時です。いざ、尋常に!勝負!


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栓には封がしてありますが、「九割四分磨き精米」の誇らしげな刻印。その正体、見極めん!!


バキキキッ、トクトクトクトクトクゥン・・・・・


おお、色はけっこう黄色です。これが低精白が原因なのかは、わかりません。単に濾過してないだけなのかな。ただ、新政はあまり色が付いてないお酒を造るところなので、やっぱり精米の影響かもしれません。しかし、これは94%磨き、油断してはいけません。

香りはキリッと青りんごフレーバー。純米なので穏やかに漂ってきます。あ~~~この酸の気配がする果物の香りをかぐと、新政って感じがしますねぇ・・・ウットリ。はっ!?いかんいかん、これは94%磨き、騙されてはいけません。


さて、意を決して呑む!ごくり!

・・・・・・・・・・・・

うそーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!???


口の中に広がったのは、紛うことなき新政テイスト、味としてはパイナップル!完璧に現代のしかも先鋭的な日本酒の味ですっ。これが94%?ぜったい60%って言われても信じるよ、僕!

本当にどうやって造ったのでしょうか?マジで想像つきません。米の表面にあるタンパク質や糖質を削ることで、一般的なあのキレイな味の日本酒が完成するのですが、この「九割四分磨き精米」は完全に雑味のないフルーティ日本酒として完成してます。しかも新政は6号酵母という新政発祥の酵母しか使わないので、酵母でどうこうしたわけでもない・・・。 凄く蔵元に質問したいです(笑)。

一応、低精白らしさとしては、他の新政より濃い目の印象があり、それが94%磨きらしさかもしれませんが、ほとんどプラシーボ効果レベルの味覚だと思います。いや、衝撃的なお酒ですよ。これだから日本酒マニアはやめられません。

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あまりの美味しさに、あっという間に飲みきってしまいました。レギュラーで販売して欲しいぐらいの完成度。そして「精米歩合なんて神話なんじゃね?」とまで思わせる技術の粋が集まったお酒でした。なんか、「技術の粋」なんて言葉、日本酒的には高精白の純米大吟醸に使うものですけど、まさか94%の低精白日本酒を表現する時に使うとは思いませんでした。

「新政 日本酒古典技法大全 九割四分磨き精米」、今後、精米歩合に関する考え方も変わっていくのかな、そんな予感が感じられたお酒でした。頒布は終了してるので、入手は困難ですが、飲み屋で見かけたら、ぜひ試してみてください。あなたが日本酒好きなほど、驚愕ってやつを味わうことができますよ! 


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名称:新政 2016年度特別頒布会 日本酒古典技法大全 九割四分磨き精米 
精米歩合:94%
酒米:あきた酒こまち100% 
アルコール度:14.5%
日本酒度:不明 
酸度:不明 
蔵元情報:新政酒造株式会社
購入価格(税込):1800円/720ml 
購入日:平成28年8月9日 
購入店:升新商店(店頭)


購入アドバイス

新政が毎年募集してる頒布会のうちの今年の1本。毎回特別な限定酒が出るので、とても人気がある。今回の日本酒古典技法大全シリーズは、他にもマニアよだれの変わり種日本酒が多数ラインナップ。もちろん僕は抽選はずれましたけどね・・・(泣)。新政取扱店で毎年募集されると思われるので、お店のメルマガ等をしっかりチェックしておきましょう。


オススメ酒販店

升新商店
今回の購入店。
池袋の重鎮酒店。なぜか頒布会のお酒がバラ売りしていたのですが、どうやら蔵元が造りすぎて配布しきれなかったお酒を引き取って販売していた模様。こういう変わったことがあるから、酒屋巡りはやめられませんな!



おすすめ日本酒店・サケストリートです!
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